お見舞い

お見舞いの表書き 薄墨を使う?濃い墨を使う?

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長い人生、何十年も生きていると、どんなタイミングで病気や怪我で入院したり、療養が必要になるか分かりませんよね?また、自分自身が経験しなくても、身近な人の病気や怪我は、誰しもが経験し得ることだと思います。

 

身近な人が病気になったり怪我をしたりしたら、まず何を置いてもお見舞いに駆けつける、という方が大半なのではないでしょうか?
また、お見舞いに行く際には必ず手ぶらではなく、何かしらを持参することが常識とされています。

 
物であったり、お金であったり、時と場合にもよりますし、相手との関係性によっても様々でしょう。お見舞いとしてお金をお渡しする際には、裸で渡す人はいませんよね?でもちょっと待ってください。

 

いざ表書きを書く時、薄墨が適しているのか、濃い墨を使うべきなのか、皆さん咄嗟に答えられるでしょうか?改めて考えてみると、その部分が曖昧だという人も多いのではないでしょうか?知らない!そんな区別があるの?という方もいらっしゃると思います。

 
ではどっちが正しいのか、見ていきましょう。

●お見舞いの表書きは、濃い墨で書く

 
実は、お見舞いの表書きは薄墨を使う必要はないのです。間違えてしまう人も多いのですが、お見舞いの表書きは普通の墨で良いのです。意外に思われた方も多いのではないかと思います。

 

たしかに、一般的にはお祝い事は濃い墨で、おめでたくないことは薄墨で、というのが常識とされていますし、皆さんの中にもそのような認識の方が多いのではないでしょうか?

 

そもそも、お見舞いの表書きが薄墨か濃い墨か曖昧なのも、そのような一般的な認識から生まれた混乱だと思われます。では何故、お見舞いは濃い墨で書いて良いのでしょう?その理由を見ていきましょう。

 

●薄墨を使うのは突然の不幸のみ

 
実は、薄墨を使うのは思いがけない不幸が起こった時のみなのです。こう書くと、病気や怪我は、思いがけない不幸だろうと思う方も多いでしょう。また、だったら薄墨の方が正しいのでは?とも思われるでしょう。しかしこの、思いがけない不幸、というのがポイントなんです。

●思いがけない不幸=葬儀

 
思いがけない不幸というのは、実はお通夜や告別式のことを指します。つまり、誰かが亡くなって営まれる葬儀のことです。ここでは何故、薄墨が使われるのでしょうか?改めて葬儀=薄墨を使用する理由を見ていきましょう。

 

人が亡くなるということは悲しいものです。また、家族や余程親しい友人でない限り、生前の本人の病状などは詳しく知らないものです。
お通夜や告別式で「そんなに悪かったなんて」「知っていたらお見舞いに行ったのに」という会話が交わされることもあります。

 
つまり、人が亡くなるという突然の不幸な出来事があって初めて営まれるのがお通夜や告別式なのです。また、最近は筆ペンや筆風の筆跡で書けるペンがありますので、一から墨をすって表書きを書くという方はほとんどいないと思います。

 

ですが、筆ペンなどが世に出る前は、表書きを書く時は墨を丁寧にすり、筆で書くというのが一般的でした。墨をするという行為は、時間をかけ、濃い墨を作るものだったのです。ですが葬儀や告別式は突然の出来事です。

 

突然知らされ、ろくに墨をする時間もないまま薄い墨で書き、慌てて駆けつけましたという気持ちの現れが、薄墨で書かれた表書きなのです。

 

香典には新札を用いない、というのもよく言われることですが、これも同様の理由です。急な出来事に対し、手持ちのものでしか準備が出来なかった(=前もって準備していた、と受け取れるので、新札を使うのは逆に失礼とも言われる)という意味で、一般的に香典には新札を用いません。

 

●お見舞いは、入院期間中に行けば良い

 
それに対して、お見舞いというのは入院や療養を知らされ、準備をする時間があります。相手の都合の良い日時を伺う余裕もある訳です。また、お見舞いとは早く良くなってね、一日も早く退院してね、というような前向きな気持ちを伝えるものでもあります。

 

先程も述べた通り、薄墨は人が亡くなる、死に関する突然の出来事=葬儀にのみ使用するものです。(その後の3回忌などには薄墨を用いる必要はありません。こちらも知っておいて損はないでしょう。)

 

良くなることを願ってお渡しするお見舞いには、決して相応しいものではないということが、お分りいただけたのではないでしょうか。以上の理由から、生きている人に対して薄墨を使って表書きをするのは、間違いであるだけでなく、大変失礼なことだと言えます。

 

●大切なのはお見舞いの気持ち

 
しかし、病気や怪我で入院、療養している人にとっては、お見舞いに来てくれるという行為や気持ちが嬉しいものです。例えば働き盛りであれば、社会との繋がりが薄れたような気がして、焦ったり落ち込んだりするものです。

 

お見舞いに訪れる人がいるというのは、その繋がりを再確認する機会にもなります。もちろん、ナイーブになっている人が多いですから、お見舞いに行く際には細心の注意や気遣いが必要です。ですがその前に、表書きの墨の濃さについて調べるという気遣いのある皆さんなら、その気持ちが相手には必ず伝わると思いますよ!